QRコードをレーザー刻印|金属で読み取れる条件
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最終更新日: 2026年9月21日
金属に刻印したQRコードが読み取れるかどうかは、コードの大きさよりも「地の色との明暗差」「まわりの余白」「URLの長さ」の3つでほぼ決まります。この3つを外すと、大きく入れたつもりのQRコードでもスマホのカメラが反応しません。
金属に刻印したQRコードは、カメラを向けても反応しないのに、カードを少し傾けただけで読めることがあります。金属は光を反射するので、照明の位置や見る角度ひとつで結果が変わります。紙に印刷したQRコードでは起きにくいことです。
レーザー刻印は、表面を削って下の地の色を出す加工です。インクを乗せる印刷とちがって「ここを黒く」という指定ができません。QRコードは明るいマスと暗いマスの差を読み取る仕組みなので、この違いがそのまま読み取り精度に効いてきます。レーザー刻印の失敗を防ぐ|文字がつぶれる原因と対策でも書いたとおりですが、QRコードは文字よりもさらに条件が厳しい図柄です。
この記事では、金属にQRコードを刻印するときにつまずきやすいポイントを整理して、1マスの大きさをどう見積もるか、配る前に試しておきたい読み取りテストの手順、そして料金と納期までまとめます。実際に製作したメタルカードの写真を並べているので、どのくらいの条件なのかを目で見ていただけます。
条件が厳しいQRコードの実物を見てみます
下の写真は、飲食店さま向けに製作した名刺型のメタルカードです。右下に小さくQRコードが入っています。この1枚を例に、金属のQRコードで注意したいポイントを見ていきます。

見ていただくと、地の色が金色で、刻印された線は白っぽい銀色です。この2色は明るさが近いので、黒地のカードに比べるとどうしても差が小さくなります。さらにQRコードがカードの端に寄っていて、外側の余白がほとんどありません。そして、すぐ左には住所と電話番号とURLの細かい文字が並んでいます。
こうした条件でも読み取れることはありますが、QRコードにとっては余裕の少ない作りです。ここから、なぜこの3点が効くのかを順番に見ていきます。
金属のQRコードが読めなくなる3つの原因
1. 地の色と、削ったあとの色の差が小さい
QRコードは「明るいマス」と「暗いマス」の並びを読み取っています。つまり必要なのは色そのものではなく、明るさの差です。ところが刻印は色を選べません。出てくるのは、素材が持っている地の色と、削ったあとに現れる色の2つだけです。
メタルカードの場合、黒いカードは削ると銀白色が出てくるので、明暗の差がはっきりします。ゴールドのように明るい地色は、削った跡と地の色の差が小さいので、同じ太さで刻んでも読みにくくなります。QRコードを入れると決めている場合は、デザインより先に地の色から選ぶのがおすすめです。
色ごとの出方のちがいはメタルカードの色選び|4色サンプル写真で違いを比較で実物の写真を並べています。QRコードを最優先にするなら黒、デザインの雰囲気を優先してゴールドなど黒以外の色にするなら、次に説明する余白とマスの大きさで補う、という組み立てになります。
2. コードのまわりの余白が足りない
QRコードの規格では、コードの外側にマス4個分の余白を空けることになっています。この余白は「静かな領域」と呼ばれていて、どこからどこまでがコードなのかをカメラに教える役割を持っています。
デザインの都合でここを詰めてしまうと、コード自体はきれいに刻印できていても、読み取れないことがあります。カードの端ぎりぎりに置いたり、枠線や文字をすぐ横まで寄せたりすると起きます。紙の印刷物でも同じ規格ですが、金属の場合は反射という不利な条件が重なるので、余白を削った影響がより出やすくなります。
3. 情報を詰め込んで、1マスが小さくなっている
QRコードは、縦横に並んだ小さな四角(マス)の集まりです。入れるデータが増えると、この四角の数が21×21、25×25、29×29……と4つずつ増えていきます。同じ大きさの枠に収めるなら、マスが増えるほど1マスは細かくなります。
先ほどの余白と合わせて、20mm角のスペースに「余白ごと」収める場合を計算してみます。
| コードの構成 | 余白を含めた幅 | 1マスの大きさ |
|---|---|---|
| 21×21マス | 29マス分 | 約0.69mm |
| 29×29マス | 37マス分 | 約0.54mm |
| 37×37マス | 45マス分 | 約0.44mm |
同じ20mm角でも、入れる情報が増えるだけで1マスは3分の2以下になります。レーザーで引ける線そのものは細く、目安として0.05mm幅ほどまで刻めます。でもQRコードで問われるのは線が引けるかどうかではなく、隣のマスと分かれて見えるかです。削った跡のふちはわずかに広がるので、1マスが細かくなるほど隣とつながって見えやすくなります。どこまで細かくできるかは素材とサイズで変わるため、データを拝見して個別にご案内します。
読み取り精度を上げる3つの打ち手
原因が分かれば、打ち手は素直です。
- URLを短くする。長いパラメータ付きのURLをそのまま入れると、マスの数が一気に増えます。トップページのURLだけにする、あるいは短い転送用のURLを1本用意しておくのがいちばん効きます。
- コードを大きくする。文字情報を減らしてQRコードに面積を回すほうが、結果として使ってもらえます。読めない情報は、載っていないのと同じです。
- 誤り訂正のレベルを上げる。QRコードには誤り訂正が4段階あり、L(約7%)、M(約15%)、Q(約25%)、H(約30%)の順に、コードが欠けたり汚れたりしても復元できる割合が上がります。反射とかすれが同時に起きる金属では、Hを選んでおくと安心です。
ただし3つ目には注意点があります。誤り訂正を強くすると、その分のデータが増えてマスの数も増えます。Hにしたせいで1マスが細かくなり、かえって読みにくくなることがあります。Hにするなら、URLを短くしてマスの増加分を打ち消す、というセットで考えてください。
1枚ずつ違うQRコードを入れる
会員カードのように、1枚ずつ内容を変えて刻印することもあります。冒頭の写真のカードにも、右上に通し番号が入っています。QRコードを1枚ずつ別の行き先にしたい場合は、ご注文前にご相談ください。

ただ、1枚ずつ内容が変わるということは、その枚数分のデータが必要になるということです。「全部で何枚作るか」「そのうち何か所を1枚ずつ変えるか」を最初に決めておくと、ご相談やお見積りがスムーズです。1枚ずつ内容が違う場合の料金は、お見積りでご案内します。データそのものの作り方は刻印データの作り方|入稿前のチェック5項目にまとめてあります。
料金と納期
Ichisのメタルカード(アルミ製・厚さ約0.22mm・クレジットカードと同じ85.6×54mm)にQRコードを刻印する場合の料金です。すべて税込で、片面刻印・Adobe Illustrator形式(.ai)のデータ入稿の場合の金額です(送料別)。
| 枚数 | 合計(版代込み) | 1枚あたり |
|---|---|---|
| 1枚 | 6,500円 | 6,500円 |
| 50枚 | 25,120円 | 502円 |
| 100枚 | 44,120円 | 441円 |
| 300枚 | 120,120円 | 400円 |
(2026年5月改定の料金表より。最新はメタルカードのページをご覧ください)
内訳は、版代が5,500円(ご注文ごと。2回目以降のご注文でも毎回かかります)、刻印代が1枚目1,000円・2枚目以降が1枚380円です。オプションとして、両面刻印が1枚あたり+250円、デザインデータ作成代(デザイン料)が1デザインあたり2,750円です。Adobe Illustrator形式(.ai)のデータをお持ちなら、デザインデータ作成代はかかりません。正確な金額は無料のお見積りで確定します。
送料は別で、メタルカードは1,000枚までが全国一律800円、1,001枚以上が1,500円(税込)です。完成品の写真をIchisのSNS・HPに掲載してよい場合は、原則として送料が無料になります。くわしくは送料のご案内をご覧ください。納期は、ご入金の確認後おおよそ2週間が目安です(枚数や内容によって前後します)。
QRコードを入れるご注文では、いきなり全部を作らず、まず1枚だけ作って実物で読み取りを確かめる方法もあります。メタルカードは1枚からご注文いただけます。1枚のご注文も通常の料金(版代5,500円+刻印代1,000円=6,500円)です。お手元で読み取りを確かめてから残りの枚数をご注文いただく場合、本番のご注文の際にも版代は改めてかかります。1枚はさむ分だけ日数もかかるため、早めにご相談ください。
数量と費用の関係、版代が注文ごとに発生することの影響についてはノベルティを小ロットで作る|金属刻印の費用と数量の決め方で計算しています。メタルカードの料金はメタルカード料金表、カード以外の刻印の料金はレーザー加工刻印 価格表で公開しています。
発送前にやっている読み取りテスト
金属のQRコードは、画面上のデータが正しくても実物で読めないことがあります。Ichisでは、発送前に次の手順で読み取りを確認しています。お手元に届いてから、ご自身で確かめるときも同じやり方で大丈夫です。
- 明るい場所と暗い場所の両方で読む。明るいほど良いとは限りません。強い光は反射も強くします。
- 角度を変えて読む。真上からと、少し傾けた状態の両方。金属は反射するので、角度ひとつで読めたり読めなかったりします。
- iPhoneとAndroidの両方で読む。カメラの性能と読み取りアプリの挙動が違います。
- 実際に使う距離で読む。お客さまがカードを手に持つ距離、だいたい15〜30cmです。
- ケースやスリーブに入れた状態でも読む。透明のカバー越しだと反射が増えます。
この5つのうちどれか1つで読めなければ、実際の現場でも読めない場面が出ます。逆に、5つすべてで読めれば安心して配れます。
QRコード刻印が向いている場面

会員カード・ショップカード。行き先を予約ページやSNSにしておくと、カード1枚で案内が完結します。実際の作り方はメタルカードで作る会員カード・ショップカードにまとめました。
設備の銘板・管理プレート。取扱説明や点検記録のページに飛ばす使い方です。刻印は、シールのようにはがれる心配がありません。使う場所に合う素材や形は、ご注文前にご相談ください。
ネームタグ・迷子札。連絡先ページへの行き先を刻んでおく使い方です。小さくて曲がったタグはQRコードにとって条件が厳しいので、QRコードを入れるなら平らな面を確保できる形がおすすめです。
よくいただく質問
Q. QRコードのデータは自分で用意しないといけませんか
QRコードを含む刻印用のデータ作成を、Ichisに任せることもできます。その場合は、デザインデータ作成代(1デザインあたり2,750円・税込)がかかります。Adobe Illustrator形式(.ai)のデータをお持ちなら、この費用はかかりません。ご相談の際は、QRコードの行き先のURLをお知らせください。誤り訂正のレベルや余白の取り方も、あわせてご相談いただけます。
Q. 最小でどのくらいの大きさまで作れますか
「何ミリまで」とは言い切れません。同じ大きさでも、地の色とURLの長さで結果が変わるからです。目安としては、余白まで含めて20mm角ほど確保できると余裕があります。それより小さくしたい場合は、データを拝見して個別にご案内します。まず1枚だけ作って実物で読み取りを確かめる方法もあります(1枚のご注文も通常の料金です)。
Q. 黒以外の色ではQRコードは使えませんか
黒以外の色でも、QRコードを入れることはできます。この記事の1枚目の写真も金色のカードです。ゴールドなど黒以外の色を選ぶ場合は、余白を規格どおりに確保して、URLを短くしてマスを大きめにする。この2つで読み取りやすくなります。
Q. 刻印したQRコードは消えませんか
レーザー刻印は、インクやシールではなく素材の表面を直接加工します。そのため印刷のようにはがれる心配がなく、半永久的にデザインが残ります。ただし、深い傷が入ってマスが欠ければ読み取りに影響します。誤り訂正をHにしておくと、多少の欠けなら読み取れる場合があります。
まとめ
金属にQRコードを刻印するときに押さえるのは3つです。地の色を先に決める/余白はマス4個分を空ける/URLを短くして1マスを大きくする。そのうえで、誤り訂正はHにして、配る前に角度と明るさを変えながら実物で読み取る。ここまで確かめておけば、現場で読めないという失敗を防ぎやすくなります。
そして、条件が厳しいデザインほど、まず1枚だけ作って実物で確かめる方法が役に立ちます(1枚でも、版代を含む通常の料金6,500円がかかります)。画面の中では判断しにくいことも、実物なら確かめられます。
刻印できる品物の一覧は製品カタログ、メタルカードそのものの詳細はメタルカードのページからご覧いただけます。制作に入る前に、刻印の内容とデザインをLINEまたはメールで確認させていただきます。読み取りに不安がある場合は、QRコードの行き先とデザイン案を添えてご相談ください。
Ichis編集部
