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レーザー刻印の失敗を防ぐ|文字がつぶれる原因と対策

レーザー刻印の失敗を防ぐ|文字がつぶれる原因と対策
目次
  1. 刻印は「印刷」ではなく「削って地の色を出す」加工
  2. つぶれる4つの原因
    1. 1. 地の色と、削ったあとの色の差が小さい
    2. 2. 刻印する面が小さい、または曲がっている
    3. 3. 細い線と太い面が同じデザインに混ざっている
    4. 4. 極小の文字とQRコードを限界まで詰め込んでいる
  3. 線の太さの考え方
  4. 発注前に、自分で確認できる4つの目安
  5. デザインを直して作り直すと、版代がもう一度かかります
  6. よくいただく質問
    1. Q. 送る前に「つぶれそうか」相談できますか
    2. Q. 手書きのロゴやラフでも刻印できますか
    3. Q. 文字を大きくすると、デザインの雰囲気が変わってしまいませんか
  7. まとめ

最終更新日: 2026年10月1日

刻印で文字がつぶれる原因は、データより先に「素材の色・刻印できる面積・線の太さ」の組み合わせにあります。同じデザインファイルでも、黒いカードなら細い線まできれいに出るのに、金色の小さなプレートでは読めなくなる、ということが実際に起こります。

よくあるのが、画面では文字の中の余白がちゃんと見えていたのに、実物では隙間がつながってしまって読めない、という失敗です。拡大した画面の中の余白と、実物の1ミリの余白は、まったく別物です。データを実寸で表示して、それでも読めるかを確かめるのが基本になります。

この記事では、刻印の仕上がりがつぶれてしまう原因を4つに整理して、発注する前にご自身で確認できる目安と、やり直しになったときに費用がどう動くかまでまとめました。実際にIchisで製作したメタルカードの写真を並べているので、「どのくらいの太さなら出るのか」を目で見ていただけると思います。入稿ファイルそのものの作り方は刻印データの作り方|入稿前のチェック5項目にまとめてあるので、あわせてご覧ください。

刻印は「印刷」ではなく「削って地の色を出す」加工

レーザー刻印は、素材の表面の層を削り取ったり変色させたりして図柄を出します。インクを乗せる印刷とちがって、色を自由に選べません。出てくる色は、素材そのものが持っている色です。

つまり、読めるかどうかを決めているのは「地の色」と「削ったあとの色」の差、そしてその差を何ミリの幅で表現するかの2つだけです。デザインが良いか悪いかではなく、この2つの条件を満たしているかどうかで決まります。

下の写真は、黒いアルミのカードに筆文字を刻印したものです。線が太いので削れた面がしっかり面積を持ち、離れて見てもはっきり読めます。刻印がいちばん得意なのは、こういうデザインです。

太い筆文字をレーザー刻印した黒いメタルカード。線が太いと金属でもはっきり読める
太い筆文字は、黒いアルミのカードでも輪郭がくっきり残ります。刻印がもっとも得意とする形です。

つぶれる4つの原因

1. 地の色と、削ったあとの色の差が小さい

黒いアルマイト加工のカードは、削るとその下の銀白色が出てきます。黒と銀白色なので、コントラストは最大です。いっぽう金色の素材は、削ったあとの色との差が小さくなります。同じ線幅・同じ文字サイズでも、黒より読みづらくなるのはこのためです。

色ごとの出方のちがいはメタルカードの色選び|4色サンプル写真で違いを比較で実物の写真を並べています。素材そのものを選ぶ段階の話はレーザー刻印で使える素材|木材・金属・アクリル・革で比較が参考になると思います。

2. 刻印する面が小さい、または曲がっている

ピアスやマウスピースのように、直径1センチ前後の小さな曲面は、いちばん条件が厳しくなります。平らな面ならピントが合う範囲に全体が収まりますが、丸みがあると場所によって焦点がずれるので、細い線が薄く出たり途切れたりします。

小さいものに刻印するときは、線を太くするより先に入れる情報を減らすのが確実です。フルネームと日付とロゴを全部入れるのではなく、イニシャルとロゴだけにする、といった判断になります。

3. 細い線と太い面が同じデザインに混ざっている

下の写真のカードは、かすれたような模様と、細い欧文の文字と、太い筆文字のロゴが同居しています。こういうデザインは、太い面がきれいに出る設定にすると細い線が飛びやすく、細い線に合わせると太い面が浅くなる、という綱引きが起きます。

細い欧文文字とかすれ模様を組み合わせてレーザー刻印したメタルカード
細い欧文、点の集まり、太いロゴが同居するデザイン。要素ごとに得意な設定が違うため、いちばん神経を使うタイプです。

とくに、かすれ模様のような小さな点の集まりは、点が小さくなるほど再現が難しくなります。デザインの意図として「かすれ」を残したい場合は、模様の粒を意図的に大きめに作っておくと再現しやすくなります。

4. 極小の文字とQRコードを限界まで詰め込んでいる

名刺型のカードは、これがいちばん起きやすいです。店名、担当者名、住所、電話番号、URL、QRコード、通し番号——入れたいものを全部入れると、必然的に文字が小さくなります。

小さな文字とQRコードを刻印した金色のメタルカードの量産分
情報量の多い名刺型の実例。住所やURLの行はかなり小さく、QRコードも入っています。金色は削ったあととの色差が小さいぶん、黒より条件が厳しくなります。

QRコードには、もうひとつ金属特有の注意点があります。QRは明暗の対比でスマートフォンに読ませる仕組みなので、金属の反射が強いと、刻印そのものはきれいに出ていても読み取れないことがあります。周囲の余白を広めに取り、サイズも大きめにしておくのが安全です。これは画面上のデータだけでは判断しにくい部分です。

線の太さの考え方

刻印は削る加工なので、線が細いほど不利になります。入稿データの線幅は0.05mm以上がひとつの目安ですが、これはあくまでデータとして成立する最低線です。実物で読めるかどうかは素材の色と刻印するサイズで変わるため、データを拝見して個別にご案内します。細い線や小さい文字が多いデザインは、線を太らせる調整が必要になることがあります。

判断が難しいときは、実物で確かめる方法もあります。メタルカードは1枚からご注文いただけますので、まず1枚だけ作って仕上がりを確かめることもできます。1枚のご注文も通常の料金(版代+刻印代)で、本番のご注文の際にも版代は改めてかかります。メタルカードの納期は、ご入金の確認後おおよそ2週間が目安です(枚数や内容によって前後します)。先に1枚を作って確かめる場合は、日程に余裕をみてご相談ください。カード以外の品物で試し彫りや試作をご希望の場合は、内容によって対応が変わるため、ご注文前にご相談ください。

発注前に、自分で確認できる4つの目安

確認すること 目安 理由
画面を実寸表示にして読めるか 実寸で読めない文字は、実物でも読めません 拡大表示は、余白を実際より広く見せます
いちばん細い線の太さ データ上は0.05mm以上が目安。実物で読ませたい線はさらに太く 削り幅より細い線は再現できません
刻印する面の広さと形 平らで広いほど安全。小さい面・曲面は情報を減らす 焦点が合う範囲にかぎりがあります
素材の色 黒(アルマイト)がもっとも対比が出ます 刻印の色は素材まかせで、選べません

この4つを先に見ておくと、仕上がりのイメージ違いを減らせます。フォント形式や画像の解像度といったファイル側の条件は入稿前のチェック5項目にまとめてあります。

デザインを直して作り直すと、版代がもう一度かかります

仕上がりを見てからデザインを直して作り直す場合、費用の面で見落としやすいのが版代です。メタルカードの料金は次のとおりです。

Ichisのメタルカード(アルミ製・厚さ約0.22mm・4色)の料金は、「版代5,500円+刻印代(1枚目1,000円、2枚目から1枚380円)」が基本です。両面に刻印する場合は1枚あたり250円の追加になります。デザインデータ作成代は1デザインあたり2,750円で、Adobe Illustrator形式(.ai)のデータをお持ちならかかりません。いずれも税込で、送料は別です。ステンレスなど他の素材のカードは、個別のお見積りになります。注意したいのは、版代がご注文ごとに毎回かかるという点です。(2026年5月改定の料金より。最新はメタルカードをご覧ください)

Ichisでは、制作に入る前に刻印の内容とデザインをLINEまたはメールで確認し、最終確認のあとに加工を始めます。オーダーメイドのため、加工を始めたあとの変更やキャンセル、イメージ違いなどお客様のご都合による返品はお受けできません。そのため、デザインを直して作り直す場合は、新しいご注文になります。返品や保証の条件は、特定商取引法に基づく表記をご覧ください。

作り直しが新しいご注文になると費用がどう変わるか、50枚作る場合で計算してみます(税込・片面・.aiデータ入稿の場合)。

進め方 内訳 合計
そのまま50枚 → 問題なし 版代5,500+1枚目1,000+49枚×380 25,120円
そのまま50枚 → デザインを直して再注文 25,120円 × 2回 50,240円
先に1枚だけ注文 → 確認 → 50枚 6,500円 + 25,120円 31,620円

デザインを直して再注文する場合とくらべると、先に1枚だけ作って確かめるほうが18,620円安く済みます。逆に、一度で問題なく仕上がったときは、先の1枚分の6,500円が余分にかかることになります。つまり先の1枚は、6,500円で18,620円の余分な出費に備える保険という位置づけです(先の1枚も通常の1注文として、版代込みの6,500円で計算しています)。細い線や小さい文字が多いデザイン、金色など削ったあととの色の差が小さい素材、枚数が多いご注文——このどれかに当てはまるなら、先に1枚で確かめておくと安心です。

なお、これは加工代だけの比較で、送料は別途です。正確な金額は無料のお見積りで確定します。メタルカードの送料は1,000枚まで800円(税込)で、完成品の写真をIchisのSNS・HPに掲載してよい場合は原則として無料になります。くわしくは送料のご案内をご覧ください。

「何枚作るのがいちばん得か」という数量そのものの決め方はノベルティを小ロットで作る|金属刻印の費用と数量の決め方にまとめてあります。カードの料金表はメタルカード料金表、カード以外の刻印はレーザー加工刻印 価格表で公開しています。

よくいただく質問

Q. 送る前に「つぶれそうか」相談できますか

ご相談いただけます。データや参考画像をお送りいただければ、個別に確認してご案内します。お見積りは無料です。細くなりすぎた線や小さすぎる文字は、作った本人には気づきにくいものなので、迷ったら先に送っていただくのがいちばん早いです。

Q. 手書きのロゴやラフでも刻印できますか

お受けしています。手書きのラフや画像からのデータ作成は、デザインデータ作成代(1デザインあたり2,750円・税込)に含まれます。ただ、細いペンで描いた線はそのままでは出にくいので、データにする際に線を太らせる調整が必要になることがあります。ファイル形式や解像度の考え方は入稿前のチェック5項目に書いてあります。

Q. 文字を大きくすると、デザインの雰囲気が変わってしまいませんか

変わります。そのため、線を太くする方向ではなく、情報を減らす方向で調整するのもひとつの方法です。住所とURLを外してQRコードだけにする、といった整理です。読めない情報は載っていないのと同じなので、そこは割り切ったほうが結果的にきれいに仕上がります。

まとめ

刻印がつぶれる原因は、データ不備よりも先に素材の色・刻印面の広さ・線の太さにあります。押さえておきたいのは3つ、刻印の色は素材まかせで選べない/小さい面と曲面は情報を減らす/実寸表示で読めない文字は実物でも読めない。そして、デザインを直して作り直す場合は新しいご注文になり、版代5,500円が改めてかかります。条件が厳しいデザインは、先に1枚だけ作って確かめておくと安心です。

素材ごとの見え方は金属プレートに名入れ刻印|素材選びと事例ガイドで、刻印できる品物の一覧は製品カタログからご覧いただけます。デザインが固まる前の段階でも、お気軽にご相談ください。

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Ichis編集部