メタルカードは自作できる?刻印の仕組みと実費
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最終更新日: 2026年10月1日
メタルカードを自作しようとしたとき、最初に立ちはだかるのは機械ではなく「色」です。あの黒やゴールドはインクで刷った色ではありません。アルミの表面に色の層をつけてあるもので、レーザー刻印はその層を削って、下から出てくる銀白色の地を見せる加工です。つまり文字の色は自分で選べません。ここを知らずに素材と機械だけ揃えると、思い描いた見た目には届かないことになります。
「メタルカードって自作できますか」というご相談があります。名刺を1枚だけ金属にしてみたい方、ハンドメイドの作品に金属のタグを添えたい方、お店のカードを内製できないか検討している方。きっかけはさまざまですが、知りたいことはだいたい2つに集約されます。そもそも金属に文字はどうやって入っているのか。そして頼んだらいくらなのかです。
この記事は、その2つに正面からお答えするものです。前半で刻印の仕組みと、自作でつまずきやすい3つの壁を実物の写真で説明します。後半は東京・浅草の自社工房で作った場合の金額を、1枚・50枚・100枚・300枚まで表で出します。売り込みではなく、判断材料としてお読みいただければと思います。
先にひとつだけ数字を書いておくと、Ichisでメタルカードを作る場合は1枚で6,500円、50枚で25,120円(1枚あたり502円)です。この差がどこから来るのかも、あとで内訳ごとに分解します。
あの色は、インクではありません
レーザー刻印は印刷ではありません。素材の表面を削ったり変色させたりして、その素材が持っている色を出す加工です。インクを乗せないので、色を後から足すことができません。
Ichisのメタルカードはアルミニウム0.22mmの板で、ブラック・ゴールド・ブルー・ピンクの4色があります。この色は板の表面についている着色層で、レーザーがその層を飛ばすと、下から地のアルミが銀白色で出てきます。ですから刻印した文字は、どの色のカードでも銀白色になります。「黒地に白い文字」に見えているものは、白いインクではなく、削れて出てきたアルミの地の色です。

上の4枚は、まったく同じデータで色だけ変えたものです。ブラックは地と文字の明暗差が最大になるので、いちばんくっきり読めます。ゴールドは地の明るさと文字の銀白色が近いぶん、同じ線幅・同じ文字サイズでも印象がやわらかくなります。読みやすさは線の細さではなく、地の色との差で決まるということが、並べてみるとよく分かります。色ごとの見え方はメタルカードの色選び|4色サンプル写真で違いを比較で1枚ずつ大きく載せています。
メタルカードは「刷る」のではなく「削る」加工なので、文字の色を選ぶことはできません。そのため、ブランドカラーが決まっている場合は、4色のうちどれがいちばん近いかから考えると選びやすくなります。カードのサイズは、クレジットカードと同じ85.6×54mmです。
自作でつまずきやすい、3つの壁
「機械さえあれば作れる」と思われがちなのですが、実際に工房でやっていることを分解すると、越えるべき壁は3つあります。順番に見ていきます。
1. 色の壁:出せる色は、素材の時点で決まっています
これが冒頭に書いた話です。刻印で足せるのは「削れた地の色」だけなので、黒いカードに金色の文字のような組み合わせは作れません。逆に、素の銀色のアルミ板を削っても、銀色の地に銀色の線が入るだけで、ほとんど読めるものになりません。仕上がりのイメージが先にある場合は、そのイメージが物理的に成立するかを最初に確かめる必要があります。
2. 素材の壁:「着色済みの薄いアルミ板」が要ります
Ichisが使っているのは、厚さ0.22mmのアルミニウムで、クレジットカードと同じサイズの板です。ポイントは着色まで済んだ状態の板が必要だということ。刻印は色を足す工程ではないので、色は素材の側で用意されていなければなりません。ここで、作りたい色・サイズ・厚みがそろった板を手に入れられるかが2つ目の分かれ道になります。
3. 設備の壁:金属の表層を削るレーザーが要ります

写真が、実際にメタルカードを刻んでいる機械です。金属の表層を削るタイプで、本体にはClass 4 laser productの警告表示があります。Class 4は、直接の光も散乱した光も目や皮膚に当ててはいけない区分です。このクラスの機械を扱うには、保護メガネの着用や換気などの安全対策が欠かせません。
そして、機械があればボタンひとつで出てくるわけでもありません。加工台の上に、穴の空いた押さえ板が写っているのが見えると思います。0.22mmのカードは軽くて反りやすいので、平らに固定しないと焦点がずれて、同じ1枚の中で濃さが変わってしまいます。機械の縦の支柱についている目盛りは、その焦点を合わせるためのものです。刻印は、素材を置いて押すだけの作業ではなく、素材ごとに出力と焦点を合わせ込む作業です。
| やりたいこと | 刻印で叶うか | 理由 |
|---|---|---|
| 黒いカードに白(銀)の文字を入れる | 叶う | 着色層を削ると、下地の銀白色が出るため |
| 黒いカードに金色の文字を入れる | 叶わない | 刻印は色を足す加工ではないため |
| 1枚ずつ違う名前・番号・QRを入れる | 叶う | データを分ければ1枚ごとに変えられる |
| 好きな色のカードを作る | 素材しだい | 色は板の着色で決まる(Ichisは4色) |
| 銀色の素地のアルミ板に刻印する | 読みにくい | 地と刻印跡の色差がほとんど出ないため |
頼んだ場合、いくらかかるか

Ichisのメタルカードの料金は、4つの足し算で決まります。すべて税込です。
- 版代 5,500円(1注文ごとに毎回かかります)
- デザインデータ作成代 2,750円/1デザイン。Adobe Illustrator形式(.ai)のデータをお持ち込みいただければ無料
- 刻印代:1枚目 1,000円、2枚目以降 380円/枚
- 送料:1,000枚まで800円、1,001枚以上は1,500円(完成品の写真をIchisのSNS・HPに掲載してよい場合は原則無料)。くわしくは送料のご案内をご覧ください
両面に入れる場合は、1枚あたり250円が加わります。納期は、ご入金の確認後おおよそ2週間が目安です(枚数や内容によって前後します)。
| 枚数 | 版代 | 刻印代 | 合計(税込) | 1枚あたり |
|---|---|---|---|---|
| 1枚 | 5,500円 | 1,000円 | 6,500円 | 6,500円 |
| 50枚 | 5,500円 | 19,620円 | 25,120円 | 502円 |
| 100枚 | 5,500円 | 38,620円 | 44,120円 | 441円 |
| 300枚 | 5,500円 | 114,620円 | 120,120円 | 400円 |
片面刻印・Illustrator形式(.ai)のお持ち込みの場合の金額で、送料は別です。表を見ていただくと分かるとおり、1枚あたりの単価が下がっていくのは、版代の5,500円が枚数で割られていくからです。刻印代そのものは2枚目以降ずっと380円のままなので、枚数が増えるほど単価は380円に近づいていきます。
価格の詳細はメタルカード刻印 価格表にも同じ数字を載せています。この表は2026年5月改定の料金にもとづいています。最新の料金はメタルカード制作でご確認ください。正確な金額は無料のお見積りで確定します。
メタルカードは1枚からご注文いただけます。ただし、版代の5,500円は1枚でも300枚でも同じようにかかるので、1枚だけのご注文がいちばん割高になります。お急ぎの場合は、ご注文前にご相談ください(確約はできません。お急ぎ対応の可否と料金は、ご注文前にご案内します)。
「あとから1枚だけ追加」で6,120円変わります
この料金表から、知っておくと損をしない計算がひとつ出てきます。版代の5,500円は「1注文ごと」にかかる、という点です。
たとえば50枚を1回で注文すると25,120円です。ところが同じ50枚を25枚ずつ2回に分けると、1回あたり15,620円(版代5,500円+1枚目1,000円+24枚×380円)で、合計31,240円になります。同じ枚数を作っているのに、6,120円高いという結果です。
もっと身近なのは「あとから1枚だけ追加」のケースです。50枚のご注文のときに、その注文の中で51枚目を足すなら380円。納品後に「やっぱりもう1枚」と別の注文でいただくと、版代からかかり直すので6,500円になります。同じ1枚で6,120円の差です。
ですので、ご注文の前に、予備が必要かどうかも考えておくと安心です。スタッフの入れ替わりがあるお店の会員カードや、名刺として配っていく用途では、数枚多めに作っておくほうが結果的に安く収まる場合があります。数量と費用の関係は、別の商品を例にノベルティを小ロットで作る|金属刻印の費用と数量の決め方でも整理しています。
色は好みだけでなく、読みやすさでも選ぶ
カードの色は好みで選ぶもの、と思われがちです。ところが同じデータの4色を並べてみると、ゴールドのように地が明るい色では、住所のような細かい文字の行が地の明るさになじみ、ブラックほどはっきりとは読めないことがあります。図柄はまったく同じデータでも、です。色は見た目の好みの話であると同時に、情報が読めるかどうかの話でもあります。
色を選ぶときは、「そのカードで、いちばん細かい文字は何か」を先に考えると決めやすくなります。ロゴと名前だけの構成であれば、どの色でも印象で選んでいただいて問題ありません。住所・電話番号・QRコードのような細かい要素が入るなら、明暗差の大きいブラックが無難です。
文字がつぶれる原因と対策はレーザー刻印の失敗を防ぐ|文字がつぶれる原因と対策に、QRコードだけを取り出した話はQRコードをレーザー刻印|金属で読み取れる条件にまとめました。
よくいただくご質問
手持ちのレーザー加工機でメタルカードは作れますか
お使いの機械が金属の表層を削れるかどうかで決まります。まずはその1点をご確認ください。そのうえで、着色済みのアルミ板を必要なサイズで用意できるか、薄板を平らに固定できるかが次の壁になります。
自分で用意したカードに、刻印だけ頼めますか
はい、お手持ちのカードへの刻印も承っています。品物は郵送でお預かりし、刻印後にお返しします。ただし、素材や表面のコーティングによっては加工できない場合がありますので、先にフォームから写真を添えてご相談ください。料金はお見積りでご案内します。また、刻印は削る加工なので、一度入れた線は消せません。買い直せない品の場合は、同じ素材の予備を用意しておくと安心です。詳しくはレーザー刻印を持ち込みで頼む|替えがきかない品の注意点をご覧ください。
1枚だけ作れますか
作れます。片面・Illustrator形式(.ai)のお持ち込みで6,500円(税込・送料別)です。1枚あたりの単価としては最も割高になりますが、自分の名刺を金属で1枚だけ持ちたい、という使い方にも向いています。
入稿データはどんな形式が必要ですか
アウトライン化済みのAdobe Illustrator形式(.ai)が最適です。.aiのデータをお持ち込みいただければ、デザインデータ作成代の2,750円はかかりません。PDFやSVGなどほかの形式は、お送りいただければそのまま使えるか確認します。画像や手書きのラフからIchisでデータを作成する場合は、1デザインあたり2,750円です。線の太さやアウトライン化など、入稿前に確認していただきたい点は刻印データの作り方|入稿前のチェック5項目にまとめてあります。
会員カードやショップカードにも使えますか
はい。1枚ずつ違う番号や名前を入れることもできるので、会員証・VIPカード・席札などの使い方に向いています。1枚ごとに内容を変える場合の費用は、お見積りでご案内します。用途別の例はメタルカードで作る会員カード・ショップカードにあります。
まとめ:仕組みが分かると、選びやすくなります
メタルカードの自作を考えるときに押さえておきたいのは、次の3点です。
- 色はインクではなく素材の着色層。刻印は削って地の銀白色を出す加工なので、文字の色は選べません
- 着色済みのアルミ板と、金属の表層を削れるレーザーの両方がそろって、はじめて同じことができます
- 頼む場合は1枚6,500円から。版代5,500円は注文ごとにかかるので、まとめて1回で頼むのがいちばん無駄がありません
仕組みが分かると、「自分でやるか頼むか」だけでなく「何色にするか」「何枚作るか」も選びやすくなります。商品そのものの仕様はメタルカード制作のページに、ほかの素材でどんなものを作っているかは製作できるもの一覧にまとめています。
デザインが決まっていない段階でも、「こういうカードを作りたい」というイメージだけでご相談いただけます。色や枚数で迷っている場合も、あわせてご相談ください。お見積りは無料です。お問い合わせフォームからお気軽にお声がけください。
