QRコードをレーザー刻印|金属で読み取れる条件
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金属に刻印したQRコードが読み取れるかどうかは、コードの大きさよりも「地の色との明暗差」「まわりの余白」「URLの長さ」の3つでほぼ決まります。この3つを外すと、大きく入れたつもりのQRコードでもスマホのカメラが反応しません。
こんにちは、Ichis広報の紗英です。わたしが最初にそれを知ったのは、刻印が仕上がったカードを自分のスマホで読もうとしたときでした。カメラを向けても、あの読み取り枠がいつまでも出てこない。データが悪かったのかと思いながら手元でカードを傾けたら、あっさり読めたんです。金属は光を反射するので、照明の位置や見る角度ひとつで結果が変わります。紙に印刷したQRコードでは起きないことでした。
レーザー刻印は、表面を削って下の地の色を出す加工です。インクを乗せる印刷とちがって「ここを黒く」という指定ができません。QRコードは明るいマスと暗いマスの差を読み取る仕組みなので、この違いがそのまま読み取り精度に効いてきます。レーザー刻印の失敗を防ぐ|文字がつぶれる原因と対策でも書いたとおりですが、QRコードは文字よりもさらに条件が厳しい図柄です。
この記事では、金属にQRコードを刻印するときに実際につまずくポイントを整理して、1マスの大きさをどう見積もるか、納品前にやっている読み取りテストの手順、そして料金と納期までまとめます。実際に製作したメタルカードの写真を並べているので、どのくらいの条件なのかを目で見ていただけると思います。
読みにくいQRコードの実物を見てみます
下の写真は、飲食店さま向けに製作した名刺型のメタルカードです。右下に小さくQRコードが入っています。この1枚に、金属のQRコードでつまずくポイントがきれいに全部そろっています。

見ていただくと、地の色が金色で、刻印された線は白っぽい銀色です。この2色は明るさが近いので、黒地のカードに比べるとどうしても差が小さくなります。さらにQRコードがカードの端に寄っていて、外側の余白がほとんどありません。そして、すぐ左には住所と電話番号とURLの細かい文字が並んでいます。
実物では読み取れます。ただ、条件としてはかなり攻めた作りです。ここから、なぜこの3点が効くのかを順番に見ていきます。
金属のQRコードが読めなくなる3つの原因
1. 地の色と、削ったあとの色の差が小さい
QRコードは「明るいマス」と「暗いマス」の並びを読み取っています。つまり必要なのは色そのものではなく、明るさの差です。ところが刻印は色を選べません。出てくるのは、素材が持っている地の色と、削ったあとに現れる色の2つだけです。
レーザー刻印は、表面の色を削って下の地の色を出す加工です。だから「この色で刻印してください」という指定はできません。黒いカードは削ると銀白色が出てくるので、明暗の差がいちばんはっきりします。ゴールドやシルバーは、削った跡と地の色の差が小さいので、同じ太さで刻んでも読みにくくなります。QRコードを入れると決めているなら、デザインより先に地の色から選んでください。(西出)
色ごとの出方のちがいはメタルカードの色選び|4色サンプル写真で違いを比較で実物の写真を並べています。QRコードを最優先にするなら黒、デザインの雰囲気を優先してゴールドやシルバーにするなら、次に説明する余白とマスの大きさで補う、という組み立てになります。
2. コードのまわりの余白が足りない
QRコードの規格では、コードの外側にマス4個分の余白を空けることになっています。この余白は「静かな領域」と呼ばれていて、どこからどこまでがコードなのかをカメラに教える役割を持っています。
デザインの都合でここを詰めてしまうと、コード自体はきれいに刻印できていても読み取れません。カードの端ぎりぎりに置いたり、枠線や文字をすぐ横まで寄せたりすると起きます。紙の印刷物でも同じ規格ですが、金属の場合は反射という不利な条件が重なるので、余白を削った影響がより出やすくなります。
3. 情報を詰め込んで、1マスが小さくなっている
QRコードは、縦横に並んだ小さな四角(マス)の集まりです。入れるデータが増えると、この四角の数が21×21、25×25、29×29……と4つずつ増えていきます。同じ大きさの枠に収めるなら、マスが増えるほど1マスは細かくなります。
先ほどの余白と合わせて、20mm角のスペースに「余白ごと」収める場合を計算してみます。
| コードの構成 | 余白を含めた幅 | 1マスの大きさ |
|---|---|---|
| 21×21マス | 29マス分 | 約0.69mm |
| 29×29マス | 37マス分 | 約0.54mm |
| 37×37マス | 45マス分 | 約0.44mm |
同じ20mm角でも、入れる情報が増えるだけで1マスは3分の2以下になります。レーザーで引ける線そのものは0.05mm幅まで細くできるので、「刻印できるか」でいえば刻印できます。でもQRコードで問われるのは線が引けるかどうかではなく、隣のマスと分かれて見えるかです。削った跡のふちはわずかに広がるので、1マスが細かくなるほど隣とつながって見えやすくなります。
読み取り精度を上げる3つの打ち手
原因が分かれば、打ち手は素直です。
- URLを短くする。長いパラメータ付きのURLをそのまま入れると、マスの数が一気に増えます。トップページのURLだけにする、あるいは短い転送用のURLを1本用意しておくのがいちばん効きます。
- コードを大きくする。文字情報を減らしてQRコードに面積を回すほうが、結果として使ってもらえます。読めない情報は、載っていないのと同じです。
- 誤り訂正のレベルを上げる。QRコードには誤り訂正が4段階あり、L(約7%)、M(約15%)、Q(約25%)、H(約30%)の順に、コードが欠けたり汚れたりしても復元できる割合が上がります。反射とかすれが同時に起きる金属では、Hを選んでおくと安心です。
ただし3つ目には注意点があります。誤り訂正を強くすると、その分のデータが増えてマスの数も増えます。Hにしたせいで1マスが細かくなり、かえって読みにくくなることがあります。Hにするなら、URLを短くしてマスの増加分を打ち消す、というセットで考えてください。
1枚ずつ違うQRコードを入れる
会員カードのように、1枚ずつ内容を変えることもできます。冒頭の写真のカードにも、右上に「S/N e001-6301」という通し番号が入っています。QRコードも同じように、1枚ずつ別の行き先にできます。

ただ、1枚ずつ内容が変わるということは、その枚数分のデータが必要になるということです。「全部で何枚作るか」「そのうち何か所を1枚ずつ変えるか」を最初に決めておくと、お見積もりも制作も早く進みます。データそのものの作り方は刻印データの作り方|入稿前のチェック5項目にまとめてあります。
料金と納期
メタルカード(名刺サイズ)にQRコードを刻印する場合の料金です。すべて税込です。
| 枚数 | 合計(版代込み) | 1枚あたり |
|---|---|---|
| 1枚 | 6,500円 | 6,500円 |
| 50枚 | 25,120円 | 502円 |
| 100枚 | 44,120円 | 441円 |
| 300枚 | 120,120円 | 400円 |
内訳は、版代が5,500円(1注文ごと)、刻印代が1枚目1,000円・2枚目以降が1枚380円です。オプションとして両面刻印が1枚あたり250円、デザインデータ製作代が2,750円(Ai形式でお持ちいただければ無料)、送料が500円(SNS・ホームページへの掲載がOKであれば無料)。納期は約2週間です。
QRコードが入る注文は、いきなり全部を作らないことをおすすめしています。版代5,500円と1枚目の刻印代1,000円で、本番とまったく同じ条件の実物が1枚6,500円で作れます。それをお手元で読み取っていただいてから、残りの枚数に進む。この順番だと、作り直しの心配がなくなります。納期は約2週間なので、サンプルを1枚はさむ場合は少し早めにご相談ください。(西出)
数量と費用の関係、版代が注文ごとに発生することの影響についてはノベルティを小ロットで作る|金属刻印の費用と数量の決め方で計算しています。カード以外の刻印はメタルカード料金表とレーザー加工刻印 価格表で公開しています。
納品前にやっている読み取りテスト
金属のQRコードは、画面上のデータが正しくても実物で読めないことがあります。Ichisでは、次の手順で確かめてからお渡ししています。ご自身で確認されるときも同じやり方で大丈夫です。
- 明るい場所と暗い場所の両方で読む。明るいほど良いとは限りません。強い光は反射も強くします。
- 角度を変えて読む。真上からと、少し傾けた状態の両方。わたしが最初に読めなかったのは、まさにここでした。
- iPhoneとAndroidの両方で読む。カメラの性能と読み取りアプリの挙動が違います。
- 実際に使う距離で読む。お客さまがカードを手に持つ距離、だいたい15〜30cmです。
- ケースやスリーブに入れた状態でも読む。透明のカバー越しだと反射が増えます。
この5つのうちどれか1つで読めなければ、実際の現場でも読めない場面が出ます。逆に、5つすべてで読めれば安心して配れます。
どんな場面で使われているか

会員カード・ショップカード。行き先を予約ページやSNSにしておくと、カード1枚で案内が完結します。実際の作り方はメタルカードで作る会員カード・ショップカードにまとめました。
設備の銘板・管理プレート。取扱説明や点検記録のページに飛ばす使い方です。金属なのでシールのように剥がれず、油や水がかかる場所でも残ります。
ネームタグ・迷子札。連絡先ページへの行き先を刻んでおく使い方です。金属は割れず、日に焼けても文字が消えません。ただし小さくて曲がったタグは条件がいちばん厳しいので、QRコードを入れるなら平らな面を確保できる形をおすすめしています。
よくいただく質問
Q. QRコードのデータは自分で用意しないといけませんか
行き先のURLを教えていただければ、こちらでお作りできます(デザインデータ製作代2,750円。Ai形式でお持ちいただく場合は無料です)。そのとき、誤り訂正のレベルと余白もこちらで調整します。
Q. 最小でどのくらいの大きさまで作れますか
「何ミリまで」と言い切れないのが正直なところです。同じ大きさでも、地の色とURLの長さで結果が変わるからです。目安としては、余白まで含めて20mm角ほど確保できると余裕があります。それより小さくしたい場合は、1枚だけ先に作って実際に読み取っていただくのが確実です。
Q. 黒以外の色ではQRコードは使えませんか
使えます。この記事の1枚目の写真も金色のカードです。ゴールドやシルバーを選ぶ場合は、余白を規格どおりに確保して、URLを短くしてマスを大きめにする。この2つを守れば読み取れます。
Q. 刻印したQRコードは消えませんか
刻印は表面を削っているので、印刷やシールのように剥がれることはありません。ただし、深い傷が入ってマスが欠ければ読み取りに影響します。誤り訂正をHにしておくと、多少の傷なら復元されます。
まとめ
金属にQRコードを刻印するときに押さえるのは3つです。地の色を先に決める/余白はマス4個分を必ず空ける/URLを短くして1マスを大きくする。そのうえで、誤り訂正はHにして、納品前に角度と明るさを変えながら実物で読み取る。ここまでやれば、現場で読めないという事故はほぼ起きません。
そして、条件が厳しいデザインほど、1枚6,500円のサンプルが効きます。画面の中では判断できないことが、実物だと5秒で分かります。刻印できる品物の一覧は製品カタログ、メタルカードそのものの詳細はメタルカードのページからご覧いただけます。QRコードの行き先とデザインが決まっていれば、読み取りに不安がある箇所は先にお伝えします。
紗英 / Ichis広報
